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2009年10月 6日 (火)

求道者イチローの原動力前人未踏の道を行くイチローを駆り立てているものは何か。

  ■1.「満足できるための基準はだれかに勝ったときではない」■

   9月13日、9年連続シーズン200安打のメジャー新記
   録を達成したイチローは「解放された。最高ですよ」と安堵の
   笑顔を見せた。

   108年前のウィリー・キーラ-が記録した8年連続を塗り
   替える前人未踏の大記録だが、「人の記録を意識しながらやる
   のは、気持ちのいいものではない」とも語った[1]。このコメ
   ントにイチローの野球に向かう姿勢が如実に表れている。

       自分にとって、満足できるための基準は少なくともだれ
       かに勝ったときではない。自分が定めたものを達成したと
       きに出てくるものです。

   イチローの目標は、キーラーの記録を破るというような「だ
   れかに勝つ」ことではない。あくまで「自分が定めたもの」が
   目標なのだ。

   2004年にジョージ・シスラーの年間257安打という記録を
   84年ぶりに更新した時、記者から「これからの目標は」と聞
   かれた際の回答にも、この姿勢が現れている。

       野球がうまくなりたいんですよね、まだ。そういう実感
       が持てたらうれしいですね。これは数字には表れづらいと
       ころですけど、これはもう僕だけの楽しみというか、僕が
       得る感覚ですから。ただそうやって前に進む気持ちがある
       んであれば、楽しみはいくらでもありますから。ベストに
       少しでも近付きたいですね。

   今回、イチローが「解放された」と喜んだのは、これでマス
   コミの騒ぎから解放されて、自らの「ベストに少しでも近付く」
   道に戻り、一人静かに楽しみながら、歩んでいけるからだろう。

■2.首位打者を狙ったら妙な打算が入る■

   打率で首位打者のタイトルを人と争うよりも、安打数にこだ
   わる所に、イチローの姿勢が見てとれる。

       妙な打算が働くから、打席で雑念が入りバットを振るこ
       とに悪影響を与える。

   というのが、その理由だ。高打率を維持しようとすると、時
   にはボールを待って四球を狙おうというような「雑念」が入る。

       ノースリー以外の状況で(フォアボールを取りにいくよ
       うな)そういう心理状態が表れたら、僕はその打席は負け
       だと思います。

   また「他人の打率が落ちてくることを知らないうちに願って
   いる自分なんて想像したくない」[3,p184]という理由もある。

   バッターとしての真価は、一打席でも多くピッチャーに立ち
   向かい、一本でも多くのヒットを打つことだというのが、イチ
   ローの姿勢である。

   イチローは日本でのプロ3年目の平成6(1994)年にレギュラ
   ー選手となるとともに、日本球界初の年間200安打を打ち、
   パ・リーグ新記録となる打率3割8分5厘で首位打者を獲得し
   た。この時に、イチローはこう語っている。

       皆さんは打率3割8分のことを評価しますが、僕の心の
       中にはまだ6割以上の打ち損じがあるという思いがありま
       す。それを少しでも減らしていくのが今後の目標です。
      

   3割8分という高打率で首位打者のタイトルをとっても、そ
   れはたまたま他の打者より打率が高かったという、人と比較し
   ての外的な基準に過ぎない。「ベスト」への道は果てしない。

■3.ライバルではなく同行者■

   2002年、メジャーでの2年目のシーズンの前半終了時点で、
   イチローは3割5分7厘で、打率2位の位置につけていた。気
   の早い日米のファンは、メジャーでの2年連続首位打者、日本
   時代からの通算では9年連続首位打者間違いなしとの予想を立
   てていた。

   折り返し時点のオールスターで、メジャー屈指の強打者マニ
   ー・ラミレスが、ロッカールームでイチローにアドバイスを求
   めてきた。「スウィングで足を踏み出すと体が投手方向に突っ
   込んでしまうのはどうしたら良いのか」と聞くのである。

   大リーグにおいては大先輩のラミレスが、2年目の新参者に
   アドバイスを求めてくる所に、自分と同様、真摯に野球に取り
   組む姿勢をイチローは感じとった。

   イチローは「体がつっこんでも構わない。(グリップ部分の)
   手が後ろに残っていればいい」と助言した。この助言を得て、
   ラミレスは後半戦を3割5分4厘と打ちまくり、イチローを抜
   いて、自身で初めての首位打者のタイトルを手にした。9年連
   続の首位打者を逃したイチローは、後悔もせずにこう言った。

       自分がアドバイスした通りにラミレスがやって、それで
       結果が出れば嬉しいじゃないですか。僕もアドバイスで言っ
       たことを同じようにやってきた。自分の考えていたことが
       それで正しかったということになる。

   ラミレスは首位打者を争うライバルではない。共に打撃の道
   を極めようとする同行者なのだ。

■4.好敵手を失ったショック■

   一本でも多くの安打を打とうとするイチローにとって、好敵
   手はバッターではなく、投手である。2001年の開幕戦、イチロ
   ーがメジャー公式戦で初めて対戦したピッチャーが、オークラ
   ンド・アスレチックスのエース、ティム・ハドソンだった。前
   年のアメリカン・リーグでの最多勝投手である。そのハドソン
   にイチローは3打席を完全に抑え込まれ、試合後「あんなピッ
   チャー見たことない」とコメントした。

   150キロ超のストレートがよく動くムービングファースト
   ボールを自在に操り、フォークボール、チェンジアップの制球
   も抜群だった。打者のひざより下のゾーンにしかボールが来な
   い時もある。空振り三振を狙うよりも、ゴロで打ち取るタイプ
   だった。イチローが一本でも凡打を少なくしようとするのに対
   し、ハドソンは一本でも多く凡打を打たせようとする、いわば
   対照的な好敵手だった。

   そのハドソンは「チームの勝敗とは別の次元で、僕の技術を
   上げてくれるピッチャーだった」とイチローは評価する。それ
   からの4年間でハドソンとは50打席以上勝負して、2割3分
   と大苦戦していた。2004年は15打数6安打で4割と、ようや
   くハドソンを打てるようになってきた。

   さあ、これからという時にショッキングなニュースが舞い込
   んだ。球団経営の苦しいアスレチックスがハドソンをナショナ
   ル・リーグのアトランタ・ブレーブスに放出したのである。リ
   ーグが違って、ハドソンとの勝負ができなくなってしまった。

       ショックでしたよ。去年(2004)のオールスターで初めて
       一緒になって、コミュニケーションも少しですが取れるよ
       うになっていた。これからもっとお互いを意識しながら対
       戦できると思っていたのに、、、。彼のように、打者とし
       ての僕の可能性を上げてくれる、という意識を持たせてく
       れるピッチャーはそんなにいない。ハドソンには、技術だ
       けでは対応できない、志の大きさのようなものがありまし
       たから。

■5.「いま小さなことを多く重ねること」■

   イチローは打席に立つと、狙いを定めるようにバットをセン
   ター方向に向け、左手で右袖の上をつまむ。イチローのトレー
   ドマークとして、全米でもすっかり有名になった仕草である。
   実は、こういう仕草にも、イチローが野球に取り組む独自の姿
   勢が表れている。

   打席に入る前には、マスコットバットを大きく振り回し、上
   半身と脇腹の筋肉をストレッチする。その後は股割りを左に2
   回、右に2回。試合用のバットを手に取り、打席に入る直前で
   一度屈伸。打席に入ると、上述のルーチンに入る。一連の決まっ
   た動作を、ほぼ同じリズムで繰り返す。

   単純な一連の動きの中に自分を投ずることにより、余計なこ
   とを考えず、無心の状態を作り出すためだ。高校時代、スポー
   ツ心理学の専門家から集中力アップのアドバイスを受けたのが
   発端で、以後、自分流の改造を積み重ねて、現在の形ができた。

   原型が完成したのは、レギュラーとして活躍を始めた平成6
   (1994)年だった。

       それまでは打席でやっぱりいろいろ考えてしまった。で
       も、プロに入ってからやっぱりこれではダメだ、と。ただ、
       (無心の状態をつくることは)口で言うほど簡単ではない
       ことですけど。

   イチローの目指す道は、こうした細かい工夫の積み重ねにあ
   る。こういう努力の末に、シスラーの年間257安打を84年
   ぶりに更新した試合の後で、イチローはこう語っている。

       いま小さなことを多く重ねることが、とんでもないとこ
       ろに行くただ一つの道なんだなというふうに感じてますし。
       激アツでしたね、今日は。

■6.バット職人への謝罪■

   イチローの細かな工夫は当然、バットにも及ぶ。長さ85セ
   ンチ、重さ約900グラム。芯で確実にボールを捉えるために、
   贅肉を削ぎ落とした極細形状である。

   オリックス時代2年目から使っているこのバットを作ってい
   るのは、ミズノテクニクスの久保田五十一(いそかず)氏。厚
   生労働省の「現代の名工100人」に選ばれている。

   久保田氏によると、プロ野球選手が使うバットはアオダモ角
   材1000本から300本程度しかとれない。それがイチロー
   仕様のバットになると12本くらいしかとれない、という。

   「あれだけのバットを作ってもらって打てなかったら自分の責
   任ですよ」とイチローは語る。

   2004年にマリナーズのキャンプを訪れた久保田氏は心に残る
   シーンを見た。フリー打撃を終えた選手たちがそれぞれのバッ
   トを芝生の上に放り投げているなか、イチローだけがバットを
   クラブでそっと包み、まるで眠った赤ん坊をベッドに横たえる
   ように置いていた。

   凡退してバットを地面に叩きつける打者の姿はよく見るが、
   それに対して、

       打てなかったあとに道具にあたるのもあまりいい感じは
       しませんね。だってバットが悪いわけじゃないんだから。
       モノにあたるくらいなら自分にあたれと思います。
      

   そう語るイチローも一度だけバットを叩きつけたことがある。
   平成8(1996)年7月6日、近鉄戦で左腕・小池秀男に三振を喫
   したときのことである。その後、イチローは我に返って久保田
   氏宛に謝罪の手紙を書いた。久保田氏はこう語る。

       何人かの選手から、自分が手がけたバットについてお礼
       を言われたことは過去にもありました。でも、バットへの
       行為そのものを謝罪されたのはあの一度だけですね。
      

■7.「監督に感謝するためにも、いい成績を残したかった」■

   これほどの細かな工夫を日々積み重ねてまで、イチローを
   「ベストへの道」に駆り立てているものは何なのか。富や名誉
   ならもう十二分にあるのだから、それらがいつまでもモチベー
   ションになっているはずがない。

   オリックスに入団した当時、「なぜそんなに厳しいトレーニ
   ングを自分に課しているのか?」と記者に聞かれて、こう答え
   ている。

       僕がこんなにトレーニングをしている理由は簡単なこと
       です。僕を獲ってくれたスカウトの方に失礼があってはい
       けませんから、、、

   このスカウトとは、イチローをドラフト4位で指名した三輪
   田勝利氏である。三輪田氏は入団当初もいろいろ悩んでいたイ
   チローに温かい言葉をかけて励ましてくれた。三輪田氏はその
   後、ドラフトをめぐるトラブルに巻き込まれて自ら命を絶ち、
   今は神戸港を臨む山あいの墓地に眠っている。

   イチローは毎年のシーズンオフに三輪田氏の墓を訪れ、花束
   とセブンスター、缶ビールを供える。そのたびに、「僕を獲っ
   てくれたスカウトの方に失礼があってはいけませんから」とい
   う思いを新たにしているのではないか。

   イチローにはもう一人の恩人がいる。当時のオリックス監督
   仰木彬(おおぎあきら)氏である。仰木監督はイチローの才能を
   見抜き、選手名を「鈴木」から「イチロー」として、レギュラ
   ーの2番打者に抜擢した。

       僕は仰木監督によって生き返らせてもらったと思ってい
       ます。監督はたとえ数試合、安打が出なくても、根気よく
       使ってくれました。その監督に感謝するためにも、いい成
       績を残したかった。

■8.「感謝の心」こそ原動力

   スポーツ心理学では、選手が感謝の心を持ち、誰かのために
   一生懸命練習し、プレーすることで、とてつもないエネルギー
   を発揮できることを明らかにしている。

   今年3月23日、野球世界一を決めるWBC(ワールド・ベ
   ースボール・クラシック)での韓国との決勝戦。同点で迎えた
   延長10回2死2、3塁で、イチローは鮮やかなヒットを放っ
   て勝利を決めた。

   日本代表チームの主将に任命されたイチローは「日の丸に恥
   じないように」を合い言葉とし、チーム一丸となって戦ってき
   たが、イチロー自身はそれまで打率2割1分1厘と不調に苦し
   んでいた。しかし最後の最後で、応援してくれている日本中の
   ファンに感謝し、その期待に応えようとする気持ちが歴史的な
   ヒットを生んだ。

   「感謝の心」こそ、求道者イチローの原動力なのである。

■■ Japan On the Globe(616)■■ 国際派日本人養成講座 ■■

                                        (文責:伊勢雅臣)

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 やはり、ラスト・サムライか!

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全部載せたね。
わしはこれ細切れにしてご紹介します!

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