【主張】小沢幹事長発言 天皇の意忖度は不適切だ
天皇陛下と習近平中国国家副主席の特例会見をめぐり、民主党の小沢一郎幹事長は記者会見で「内閣が判断したことについて、陛下がその意を受けて行動なさるのは当然のことだ」と述べた。内閣による天皇の政治利用を正当化した極めて不適切な発言である。
小沢氏は「陛下の行動は内閣の助言と承認によって行われ、陛下の行動に責任を負うのは内閣だ」と説明する。だが、天皇の行為がすべて内閣の助言と承認に基づいているわけではない。
国会召集など憲法に定められた国事行為や外国ご訪問など閣議決定を経た公的行為は別にして、全国植樹祭ご臨席など通常の公的行為は宮内庁の判断で行われる。最も重要とされる新嘗祭(にいなめさい)などの宮中祭祀(さいし)は、憲法でなく歴史と文化の伝統に基づく行事である。
小沢氏が指摘するように、天皇は忙しい毎日を送られているが、それは内閣に全行動を縛られているからではない。
天皇は国民のために祈り、どの国にも公平に接することを心がけておられる。国民はその天皇に限りない敬意と感謝の念をささげてきた。小沢氏の発言には、時の内閣が天皇を意のままに動かせるかのような傲慢(ごうまん)さがうかがえる。
小沢氏は「陛下にお伺いすれば(習氏との会見を)喜んでやってくださると思う」とも述べた。前回の記者会見でも、鳩山由紀夫内閣が1カ月前までに申請が必要なルールを無視して宮内庁に特例会見を設定させたことに関し「陛下は『手違いで遅れたかもしれないけれども会いましょう』と必ずおっしゃると思う」と述べた。
天皇のご意思を勝手に忖度(そんたく)し、それを鳩山内閣の擁護に利用する発言も不見識である。
鳩山首相も10月の日韓首脳会談後の記者会見で、韓国側が希望している来年の天皇ご訪韓について「簡単に分かったと申し上げることができない」と言いながら、「私は天皇陛下ご自身もその思いを強く持っておられると理解している」と述べた。
天皇が反論されないことを承知して意図的な政治利用を図っていないか。岡田克也外相は、先の臨時国会開会式での天皇のお言葉に注文をつけた。閣僚や民主党幹部は、天皇に関し、もう少し発言に注意すべきだ。
23日、天皇陛下は76歳の誕生日を迎えられた。陛下のご健康と国のますますの発展を祈りたい。(産経ニュース2009.12.23)
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