【産経抄】5月29日
ちょうど50年前、昭和35年の今ごろ、東京は「アンポ」一色に染まっていた。当時5歳の安倍晋三少年は祖父である岸信介首相の家に遊びにいった。首相を相手のお馬さんごっこで、「アンポハンタイ」とデモ隊をまねては、祖父を困らせたという。
▼安倍元首相が折にふれ語っている「60年安保秘話」である。言うまでもなく岸首相は、日米安保条約の改定に政治生命をかけていた。かわいい孫に「ハンタイ」と言われたときの苦笑いが目に浮かぶようだ。とはいえ、まだ5歳の坊やでは仕方なかっただろう。
▼これに対し、2代前の鳩山一郎首相の孫の由紀夫現首相は当時13歳、中学2年生だったはずだ。確かめたわけではないが、中学生であれば政治や社会に関心を持っていてもおかしくない。ましてや元首相の孫である。日米安保についても、いろいろ考えたに違いない。
▼と思っていたのだが、どうやら間違いだった。今月初め、普天間問題で沖縄を訪問したとき「学べば学ぶほど(海兵隊で)抑止力を維持できていることがわかった」と「名言」をはいた。米軍の抑止力こそ日米安保の根幹をなすことすら、ご存じなかったらしい。
▼それだけではない。一昨日開かれた全国知事会議で、石原慎太郎東京都知事が「尖閣諸島で日中が衝突した場合、日米安保が適用されるのか」と聞いた。首相は「(米国に)確かめる必要がある」と答えたそうだ。しかしこれも、日米安保への無関心を示すものだった。
▼この問題では前の麻生政権時代に「安保適用」の確認を米側から得ているからだ。そうでなくとも、常に有事のさいを考えておくのが、宰相たる者の務めである。国の安全より連立政権の方に関心があるとは、いよいよ日本も危うい。
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