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2010年6月10日 (木)

【正論】中国海洋パワー 拓殖大学大学院教授・森本敏

■南西防衛戦略を確立し国益守れ

 日米同盟が普天間基地問題でぎくしゃくする中で、米国が鳩山政権の未熟な安全保障観にどれほど忍耐し、寛容な対応に出ているかを日本はもっと深刻に受け止め、米国に対する「甘えの構造」をやめるべきである。

 米国の忍耐が切れたら、海兵隊の撤退もあり得る。そうなってからでは遅く、日本の国家の安全は直ちに危うくなる。それが理解できないのは、米国の抑止力を理解できていないのと同義である。

 北東アジアはこのところ、潜在的な危険性が高くなっている。3月末に黄海上で起きた韓国海軍哨戒艦「天安」の沈没事故が魚雷の爆発によるもので、北朝鮮がこれに関与していたということになると、今後、南北間でいかなる事態が発生するか予断を許さない。

 昨年11月に同じ黄海上で起きた南北警備艇の銃撃戦により北朝鮮側に死傷者が出たが、今回の事故がその報復であるとすれば、容易ならぬことである。北朝鮮は今年1月15日、韓国に対し、「報復の聖戦」を始めると宣言していることもあり、これとの関連が危惧(きぐ)される。このような状況下で、日米同盟が不健全な状態であることは、さらに、われわれにとって危険性が高いと知るべきである。

 ≪不健全な日米同盟は危険≫

 日本にとって、もっと切迫した問題は、日本周辺海域における中国海軍の活発な進出活動である。特に、4月に中国艦艇10隻が沖縄本島-宮古島の間を通り抜けて沖ノ鳥島西方海域で活動した事例や、東シナ海で警戒監視中の海自護衛艦に対する中国軍ヘリの接近飛行、5月の奄美大島沖での海上保安庁測量船に対する中国船舶からの作業中止要求など、周辺海域における海軍活動は意図的であり、挑発的である。

 中国海軍の近代化と外洋活動は特に、昨年初頭以降、顕著であるが、今回の活動は、日米同盟がぎくしゃくしている状況を見て、「友愛」を唱える鳩山政権には何もできないと見通し、日米同盟の離反を狙った活動と見るべきである。中国の見通しどおり、これに対する日本政府の対応も生ぬるく、断固としたものを感じないのは極めて遺憾である。

 日本は、こうした北東アジアの戦略環境の中で、米国の抑止力を確保しておくことが死活的に重要であり、普天間基地問題で、つまずいている余裕は全くない。

 しかしながら、日本は米国の抑止にのみ依存するのではなく、自らの防衛努力を戦略環境に応じて適切に進めることが不可欠である。そのための南西防衛戦略を早急に確立せねばならない。

 日本列島は、北東から南西に延びる3500キロという長大な列島群でできている。そのうち、九州南端から台湾までの1300キロ余は本州の長さに匹敵し、沖縄本島から与那国島までの600キロは東京-広島間の距離である。この間に、陸上自衛隊の部隊はなく、防衛上の空白状態ができている。

 そもそも、九州南端から与那国島までに、190の有人島があるが、そのうち自衛隊が配置されているのは5島のみであり、日本の最西端の部隊は宮古島にある空自レーダーサイトである。沖縄本島と宮古島の距離は268キロあり、この両島の間にある海峡の中間にはレーダーでも監視できない110キロの空白海域が存在する。中国海軍は、この間を通過していた。

 ≪抗議を繰り返すだけでは…≫

 わが国はこうした南西諸島地域に防衛上の空白が存在することを放置すべきではなく、まず、南西海域における日本防衛のための基本戦略を速やかに構築すべきである。冷戦後に日本の南西方面が戦略的に見て重要な正面であることは明白であるにもかかわらず、防衛上の重点がまだ、冷戦期の遺産を引きずっているとすれば、それは早急に是正すべきである。

 そのうえで、尖閣諸島からも近い距離にある与那国島宮古島、石垣島など先島諸島や奄美大島など主要な有人島に陸自部隊を配備するとともに、周辺海域の情報収集や、海上交通路の防衛のために、海空自衛隊の警戒監視部隊や通信部隊を配備し、また、有人島の民間空港も自衛隊と共同使用できるようにすべきである。

 中国の外洋進出は、明確な意図を持って進めている国家戦略である。これに対して、中国に外交上の抗議を繰り返すだけで、日本の国益を守れるとは思えない。

 日米同盟を一層緊密にすることは重要であるが、同時に、日本として南西方面に取り組む戦略思考がなければならない。沖縄の負担は軽減すべきだが、沖縄本島を含め南西方面の多くの島民が安全に暮らせるようにすることは日本国の責務である。南西方面の防衛にはコストもかかるし、リスクもある。しかし、これは日本防衛の重要拠点であるという認識にたって重点的に努力すべきであり、そのための陸自の要員が不足するというのであれば、増員すべきであろう。(産経ニュース2010.5.20)

Amapj

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