【W杯】母への感謝の気持ち忘れない 長友佑都選手
【ダーバン(南アフリカ)=白岩賢太】「不良少年」を自称する男が再び世界のピッチで躍動した。19日、世界屈指の攻撃を誇るオランダに挑んだ日本代表DF、長友佑都(ゆうと)選手(23)=FC東京。カメルーン戦でも主力のエトーを封じ込めて勝利に貢献した。「すごい選手とやり合えるのは幸せ」。強気の左サイドバックは、女手一つで育ててくれた母への感謝も忘れず、この日もピッチを縦横無尽に走り回った。 「ここまで来るのにたくさんの人に支えられ、今の自分がいる。感謝の気持ちを表現できるのはピッチの上だと思っている。思う存分暴れてきます」 14日のカメルーン戦の2時間前。中学時代の恩師、井上博さん(40)の携帯に長友選手からメールが届いた。前夜には「先生、もうスイッチが入ってますよ」と元気な声を聞いたばかりだった。 愛媛県西条市出身。小学3年のとき、両親が離婚し、母の美枝さん(48)が3人の子供を一人で育てた。仕事が深夜に及ぶことが多く、多感な時期にも「ほとんどかまってやれなかった」と美枝さん。愛媛FCの入団テストに失敗し、仕方なく進んだ市立西条北中のサッカー部に入り、井上さんと出会った。 入部当初は練習をさぼり、ゲームセンターに入り浸った。髪を金色に染めて大人への不信感もむき出しにし、美枝さんでさえ「手に負えなかった」という。そんな長友選手と真剣に向き合ったのが井上さんだった。 夜中に自宅を訪れ、涙を流しながら説得したこともある。たむろするゲームセンターまで追いかけ、ほおをひっぱたいたこともある。「お前と真剣にサッカーがしたい」。井上さんの熱意にほだされ、長友選手の態度は見違えるように変わった。 中学3年のとき、井上さんの発案で駅伝チームを結成。部員は毎日、学校の裏山を5時間近く走り、持久力を養った。「テクニックやスピードがあるわけでもなく、体格に恵まれていたわけでもない。でも努力する才能は人一倍あった」 カメルーンとの大一番で、圧倒的なスピードとテクニックを持つエトーを押さえ込んだのは、ボールを取られても食らいつくスタミナ。そして何より、気持ちで勝った。「(エトーには)絶対負けたくなかった」 中学時代、「ビッグになる」と約束を交わし、故郷を離れて8年。井上さんの目には、日本代表に欠かせない選手に成長した教え子が頼もしく映る。 そして美枝さんも、身長170センチの小柄な息子が世界で戦う姿に特別な思いを抱く。カメルーン戦当日。息子から届いたメールは一生の宝物だ。 「すべてに感謝しています。きょうは貪欲(どんよく)に行くよ」
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