『企業が隠れた危機を迎えるのは事業の最盛期にある』鎌田浩毅(京都大学大学院教授)
1.自動車王ヘンリー・フォードは、自動車産業を起こすに当たり、資本家・労働者・大衆という図式で社会を固定的に考えることをやめた。「製品を買ってくれる大衆は、どこからともなく現れるのではない。経営者も従業員も、はたまた購買者層も、すべて一体なのである」として、作る人自体が買わなければ発展はない、と考えた。
2.資本主義社会を作ったフォードは利潤がひとりでに増長することへの警告を発する。「利潤は利潤を生むように見える。だから利潤は愚(おろ)かな使い方をしがちだ。しかし、そのようなことをしたら、利潤は、自らの源泉を破壊し、消滅することになる。あまりにも高い利潤を要求する企業は、赤字経営の企業と同じくらいはかなく消滅する」。
3.そして企業が隠れた危機を迎えるのは、事業の最盛期であるという。「膨大な株式を発行したり、生産からではなく紙切れから利潤を得たり、また真の価値に水増しして容易に利潤をあげたりする方法を、お金の力によって教えられる。そのために、多くの会社は、経営とはこんなもんだという錯覚に陥り、誘惑に屈することになる。だがそれは経営というにはほど遠いものであり、一種の緩慢な自殺行為にすぎない」。サブプライムローンの証券化商品により、世界中が経済危機に陥った現状を、84年前のフォードがまさに予言しているかのようだ。
(参考:「週刊東洋経済」2010年1月30日号)
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