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2010年7月19日 (月)

【安藤慶太が斬る】参院選に思う 民主党の政権運営の是非は問われたのか

 「これから政治がどうなってしまうのだろう」と不安を覚えた人もいただろう。「だから、いわんこっちゃない」という人も大勢いたに違いない。参院選が終わった。民主党の過半数割れという結果で有権者は民主党の政権運営に厳しい審判を下したことになる。ただ、私はジェットコースターのようにめまぐるしく乱高下する支持率を眺めているとこのまま終わるとはどうしても思えず、ここまで民主党が大敗を喫して終わったのが正直少し意外だった。

■世論調査は万能か

 投開票前の世論調査では「与党過半数割れ濃厚」「50割れも」などと日に日に民主党にとって情勢が悪化の一途をたどっていた。民主党が下り坂を転がり落ちている印象を抱きながらも、一方で接戦を演じる選挙区もたくさん残っていたことも確かだった。

 そもそも、世論調査を眺めていていつも感じることなのだが、世論調査の結果というものはどこまでストレートに投票行動に結びつくものなのか。

 世論を頭から無視する政治もどうかと思うが、今の政治光景を見ていると世論の顔色ばかりをうかがう愚かしい光景も少なくない。世論調査を過信することに懐疑的になってしまうのである。

 それに世論調査の結果が事実として報じられることによって新たな政治状況が生まれる場合だってあるかもしれない。有権者の漠たる思いを「やっぱり」と強固な思いにしてしまう場合もあれば、判官びいきを生む場合もあろう。

 今回の場合、世論調査を見た多くの有権者はおそらく「民主党政権がやっぱりダメだと思っているのは私だけではなく、案外多いんだな」と意を強く感じたのだろうな、とは後から理由付けはできる。だが、当時はわずか数日の調査で大きく数字が変わることも珍しくなかった。

 そんなことを考えればとても、この数字のまま選挙が終わるとは、どうしても思えなかった。結果が出たときも「まさかここまで負けるとは…」。こういう思いだったのである。

■何が争点だったの?

 何より選挙戦を振り返ってもどかしさを覚えたのは、今回の選挙が何を争点にした戦いだったのかがよくわからなかったことである。

 産経新聞の社会面で「キブンの時代」という通年企画をやっている。このなかで選挙の勝敗を決する条件は、有権者のキブンをつかむ発信をすることであり、そのことに成功すれば、波を打ったような大勝利が転がり込むという指摘があった。

 それが、小泉首相の郵政選挙であり、昨年の衆院選だった。「郵政民営化」も「政権交代」もそのためのキーワードだった。

 キーワードはわかりやすいワン・イシューばかりだ。選挙というのはもともと政権選択を問うべきものであり、「政権交代」という言葉を選挙の争点に掲げるのは論理的におかしいはずである。

 それに民主党がそもそも、国家の運営やかじ取りを任せられる政党かどうか。これ自体、極めて怪しかったのだが、こういう不安や疑問は当時「政権交代」というスローガンが熱を帯びるにつれて消し去ってしまったのである。

 「郵政民営化」にも似た思いがある。「郵政法案」だけに絞って衆院を解散して民意を問う。分かりやすいといえば分かりやすいし、民主主義の原則にかなってもいる。ダイナミックですらあったのだが、国の懸案が山ほどあるなかで、なぜ郵政法案だけ争点化して民意に問うのだろう。

 そんな疑問すら口にできぬほど、当時有権者は熱狂した。次々出てくる「小泉チルドレン」や造反議員の狼狽(ろうばい)などを見せつけられて、有権者は投票で何かが実現できるというキブンにさせられたのだった。

■みんなの党とキブン

 今回の選挙で投票行動を左右するようなキブンはあったのだろうか。

 「もうだまされないぞ!」というキブンはあったような気がする。もうひとつ「民主はダメだが自民もイヤ」というキブンもあったと思う。議席ゼロから大躍進した「みんなの党」がこの辺のキブンを一定取り込んだ気がするが、実績ゼロの「みんなの党」に「まただまされるかもしれない」「任せて大丈夫なのか」という躊躇(ちゆうちよ)も一方にあったに違いない。

 彼らは勝利したとはいえ、いつ飽きられるかというジレンマを抱えているはずである。「やっぱりみんなの党もダメね」といったキブンの裁きをいつ突きつけられるのか分からない立場なのである。

■突如持ち出された消費税

 今回、民主党から選挙戦の冒頭、消費税の増税が提起された。強いて言えば、これが選挙の争点ということになっている。

 私はキブンの選挙を是認しているわけではない。表面的な印象などに左右されず、ちゃんと政策に踏み込んだ戦いが選挙のあるべき姿だと考えている。

 だが、この消費税の問題提起はそういう代物ではなかったと思う。支持率が下がれば直ちに引っ込め、今度は低所得者への還付の話が持ち出され、その所得ラインが演説先によってコロコロ変わるなどあきれるほど不真面目だったからだ。

■何を語らなかったのか

 広告の関係者から「アジェンダ設定効果」という言葉を聞いたことがある。「ビールはキレだ」「ビールは天然水だ」といった商品のアピールポイントを広告に盛り込み、それを盛んに広告で流せば、消費者はそれまで意識していなかった「キレ」や「天然水」を意識するようになり、ビールの選択時に影響を受けるようになるというものだ。選挙戦におけるスローガンにもまさに通じるところがある話だ。

 だが、例えばの話、天然水にこだわってできたビール、水にこだわった代償として今までよりホップの質を落とした、あるいは値段に転嫁された、といったマイナスの要素があったとしても、それは広告で触れられることはない。消費行動でもあまり問題視されずに済んでしまうというわけであるが、政治や選挙の場合は、それで許される話ではないはずだ。

 「政治家が何を語るか」だけを見ていてはダメなのである。政治家が「何を語ったのか」より「なぜそう語ったのか」やむしろ「何が語られなかったのか」のほうが重要な場合が沢山あるからだ。マニフェストに何を盛り込んだかでなく、何を盛り込まなかったのか。あるいは盛り込めなかったのか。そこに重大な意味がある場合が少なくない。

 マニフェスト選挙が一般的になり、そのマニフェストも色あせたものとなった。「もうだまされないぞ!」というキブンは確かにあったのだが、民主党の掲げたマニフェストが絵に描いたもちであるという指摘は実は昨年の時点からあった話だ。マニフェストに盛り込む文言は、聞こえの良い、ただの宣伝文句のままでいいのか。有権者は宣伝文句に書かれたことだけで、投票先を選んでいればいいのか、といったことを政党も政治家、そして何より有権者もじっくり考えてみる必要があるだろう。

■なぜ消費税が持ち出された?

 例えば、先ほど述べた消費税という問題提起だが、これはマニフェストに記述がなかったにもかかわらず、「公約と考えてもらって構わない」と菅首相が直々に持ち出したものだった。

 なぜ、こんなアピールをしたのだろう。菅首相は国民に負担を迫り自らの選挙戦を不利に陥れる恐れのある消費税をわざわざ自分から持ち出したのだろう。

 財政の建て直しに不可欠というのは事実である。

 だが、むしろ、菅首相には別の意図があったのではないだろうか。鳩山首相から政権を引き継ぎ、首相交代で支持率はV字回復を果たした。このまま短期決戦で逃げ切りを図るために早く選挙戦に持ち込みたい。国会は実質的な審議もなく、急いで閉幕させてまで選挙戦に移行させた狙いも、ひとえに選挙勝利を願っての策だった。

 そんな菅首相にとって、一番の不安は何だったのか。やはり、鳩山政権があれだけお粗末な政権運営をやっておきながら、鳩山政権の懸案や齟齬を蒸し返されたり、菅内閣が鳩山内閣の方針を具体的にどう引き継ぐのかを詰められることだったのではないだろうか。

 八ツ場も普天間も、あるいは子ども手当も高校無償化もある。そして外国人参政権も人権侵害救済機関の設置の是非も、あるいは夫婦別姓もある。政治とカネだって忘れられない話である。本来ならば、どれひとつ取ってもそれだけで十分すぎる争点になっていいはずのテーマだらけなのだ。

 これらをひとつひとつ、追及され、蒸し返された場合、どうなるか。前政権が残した負の遺産をめぐる議論はあまりつきあいたくはない、追及はかわしたいという意図に基づいて何か別のアジェンダを持ち出す必要があったのではないか。そこで、あえてインパクトのある別のワンイシューとして消費税を持ち出したのではないかという思いがしてならないのである。

 実際、消費税を持ち出された後、報道は徐々に消費税に焦点化され、普天間にせよ、八ツ場にせよ数々の失策が蒸し返されることは最小限にとどまったように思える。

 消費税が結果として民主党にとってあだになったのは否めない。しかし私には、消費税を打ち出してひとまず選挙戦の争点から消え去ったことのほうが重要な出来事だったように思える。その消費税もうやむやになり、結局、有権者は何を判断基準にすればいいのか、わからない状況が生まれたからである。

■大学をつぶすのか

 私は消費税の増税を許されない話だと頭から否定して言っているのでは必ずしもない。まず動機が不純で政権の選挙をにらんだ打算によって打ち出されたのではないかと疑問を投げているのだ。今回の選挙で問われるべきだったのは断然、民主党の政権運営の是非であってこれ以外に筋としてあり得ない。ここから逃げたり、大衆の情報操作まがいの手法で争点隠しを図るのは許されないと考える。

 昨年の政権発足以降、民主党政権は「子ども手当」や「高校無償化」を財源の見通しが不十分なまま、半ば強引に成立させた。税収の落ち込みもあって予算の逼迫(ひつぱく)は深刻さを増している。また、無理筋で予算編成を進めた結果、「子ども手当」「高校無償化」のしわ寄せは随所に出ていることも見逃せない。何しろ今執行中の予算は「戦時下の予算」(仙谷由人内閣官房長官)と身内から酷評される予算なのだ。

 これからすぐに来年度予算編成に向けた概算要求が始まる。理不尽な一刀両断、議論なき切り捨て御免、一面的な予算カットのつけはいずれ表面化するだろう。

 文科省がまとめたところによると、国立大学の運営交付金などは心配なところである。閣議決定された中期財政フレームの方針に基づき予算編成すれば、法外な交付金削減は避けられない。文科省の試算によれば、授業料に転嫁すれば学生1人あたり年間20万円超の増額が避けられない。また大学を減らすなら九州大学大阪大学をなくさなければ対応不能なほどの規模だという。

 民主党政権は高校は無償化する代わりに、大学には行かなくてもいいというつもりなのだろうか。そうではないことを信じているが、民主党が意図的にこういう結果を狙って高校無償化を導入したのであれば、国民に対する背信だし、予測できなかったというのであれば、それは力不足である。いずれにしても、収拾する責任は民主党政権にある。「だから、消費税導入が必要なんですよ」という理屈は一応成り立つのかもしれないが、それは財源確保がおぼつかないままに高校無償化や「子ども手当」を導入したしわ寄せだという大前提を見逃すわけにはいかない。そもそも、民主党の掲げた子ども手当や高校無償化が正しかったのか、強引な予算編成が正しかったのか、といった点を議論の出発点を据えなければ、消費税導入に説得力を与えることなどはできはしないのである。

(産経ニュース2010.7.19/社会部専門職・安藤慶太)

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