『仕事からしか幸福は得られない』(鎌田浩毅:京都大学大学院教授)
1.ヒルティ著「幸福論」(斉藤栄治編)で著者は、仕事や人付き合いの中で役に立つ技術を懇切丁寧に語る。たとえば、「気分が乗らないから」などと理由をつけて動かないのでは何も始まらない。「計画をもっと詰めてから」とぐずぐずしていては、時間ばかりが流れていく。だから著者は、何はともあれ開始せよと説く。言い訳ばかりしていないで、今すぐに可能なことを部分的でもよいから始めよと言うのである。
2.気分が乗ってから始まる仕事などない。始めてしまえば頭は動き出し、考えはまとまってくる。この助言は仕事をスタートする際の極意であり、私もつねに活用している方法だ。
たゆまず動き、少しずつでも進めていくと、いつしか仕事は完成が見えてくる。いかなる仕事でも真剣に行えば興味が湧いてくる。こうした仕事を持っていないことは、不幸である。
3.「仕事の種類が幸福にするのではなくて、創造と成功の歓喜が幸福にする。最大の不幸は、仕事のない生活であり、生涯の終わりにその実りを見ることのない生活である」。
著者の幸福論の根本には、仕事からしか幸福は得られないという考えがある。いくらおカネに不自由しなくとも遊びばかりの人生ではつまらない。享楽は必ず飽きる。いちばんの
幸福は、自分に与えられた仕事を一生懸命にこなすことから得られる。
(参考:「週刊東洋経済」2010年3月13日号)
« 『自らの貢献は何でなければならないか、を考える』(P.F.ドラッカー) | トップページ | 海ほたる:足湯 »
コメント