【プロ野球】阪神、一日で首位奪回 選手会長の一打が勝利を呼び込む
拙攻で負けた前夜のうっぷんを晴らすかのような集中打だった。阪神は二回、4安打4得点で主導権を握り、投打で巨人を圧倒。一日にして首位に返り咲いた。
連敗だけは阻止したかった。チームに勝利を呼び込んだのは、選手会長のバットだった。巨人の先発内海から1点を先制した二回、なおも2死一塁。メッセンジャーの左中間フェンス上部への大きな打球に、一度は審判も「スタンドイン」のコール。だが、ビデオ判定となり結局、二塁打と判断され、2死二、三塁で試合が再開された。
「きのう、序盤のチャンスを生かせず負けたから、なんとか返したいと思った」。ここで鳥谷が執念で右前に運び、2人の走者が生還した。前夜は、巨人の8安打を上回る11安打で2点しか奪えず、首位から陥落した。2つの悪い流れを断ち切る一打だった。
この日は2安打。3安打以上なら球団記録を塗り替える4試合連続での猛打賞だったが、打率・281にまで戻った。打率・268で前半戦を終え、「なんとか調子を上げるきっかけをつかみたい」。これまではコンパクトに打つことばかり考えたが、足を高く上げて、遠くへ飛ばす練習を繰り返したのが功を奏した。鳥谷が“完全復活”すれば、ますます打線に厚みが増す。
「調子が出なかった鳥谷にも当たりがでてきた。これで1勝1敗。ひとつ勝ち越して帰りたいね」。普段はあまり喜怒哀楽を表に出さない真弓監督の顔が、珍しく緩んだ。
(産経ニュース2010.8.4)
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