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2011年1月 2日 (日)

【年のはじめに】論説委員長・中静敬一郎 「ひこばえ」に思う国家再生

 元日の朝、若水を汲(く)み、前年の邪気をはらう。今年をよい年にしたいとだれもが願う。光明は見えてきている。

 鎌倉・鶴岡八幡宮の玉砂利を踏んで境内を進んでいくと、しめ縄が張られた一角に出る。そこに2メートルほどのご神木の枝が冬空に向かって伸びている。

 昨年3月10日未明、雪のまじった強風にあおられ、突然、根元から倒れた樹齢推定1000年の大銀杏(おおいちょう)からの「ひこばえ」である。残った根から出てきた新芽をいう。幹の回り7メートル近い巨木は、800年ほど前に鎌倉幕府3代将軍、源実朝を暗殺した犯人の公暁が隠れたと伝えられている。

 枯死の危機を再生の好機に転化できたのは、関係者の組み合わせの妙によるものだ。根付きの措置をすばやく取った神社側、専門家の活用、天然記念物指定の解除と同様の扱いを即座に決めた神奈川県教育委員会の対応である。実際の指定解除は6月だったが、スピードと、ご神木を蘇(よみがえ)らせようと心を一つにしたことが大きい。

 幹の中心部にぽっかりと大きな穴が開いていたことも、倒壊して初めてわかった。芯がじわじわと蝕(むしば)まれていたのである。

 それにつけても日本という巨木も空洞化が進んでいると思えてならない。それを象徴するのは日米安保体制である。米軍普天間飛行場移設をめぐる民主党前現政権の迷走と無策だけでなく、自民党政権下でも移設問題を決着できず、集団的自衛権の容認を先送りしてきた。同盟国への攻撃を座視する相手では信頼は深まらない。

 ◆「一国平和主義」色濃く

 気付かぬうちに、日本の平和と繁栄を保障する国家の幹は侵食され、根元から倒壊寸前である。

 その要因は、空想的な憲法に基づく悪(あ)しき戦後の残滓(ざんし)といえる「一国平和主義」から、いまだに抜け出せないことだ。軍事の忌避が、尖閣諸島への中国の野心と無法を増長させてもいる。問われているのは国家の有(あ)り様である。

 歴史を振り返ると、今年は大激変が起きた節目の年にあたる。100年前の1911年には辛亥革命が勃発(ぼっぱつ)した。清朝が打倒され、共和制国家である中華民国が樹立された。20年前の1991年はソビエト連邦が崩壊した。10年前の2001年には超大国・米国が国際テロの挑戦を受けた。

 日本に関しては80年前の1931年、日本軍による満州事変が起き、翌年満州国が建国された。日本破局の序曲である。事変から10年後の1941年、真珠湾攻撃により敗戦に突き進んでいった。

 ◆伝統が世界企業育てた

 国家はやすやすと瓦解(がかい)する。芯がなく、うつろであれば、なおさらだ。日本の芯は、皇室に代表される伝統や、勤勉・礼節といった国民精神などに形容される。変化に対応して、芯といえる底力を作ってきたのは全国で2万を超える創業100年以上の企業だ。

 その一つに、1907年に創業され、戦艦大和や武蔵の砲身を手がけた日本製鋼所(資本金約197億円)がある。ユニークなのは、創業直後に刀剣作りの名匠を室蘭製作所に招聘(しょうへい)し、以来、作刀を守り続けていることである。

 複数の鋼を鍛え、錬(ね)り上げる日本古来の刀剣作りの手法が、600トンの鋼塊をくりぬき、不純物を除く鍛錬作業を必要とする原子炉容器製作につながる。今、世界の原子炉容器の8割を占める。

 室蘭製作所長だった佐藤育男社長によると、所長交代時の申し送りは「どんなに厳しくても作刀だけは継承する」ことだという。そして、こうも語る。「日本刀の切れるが折れない機能、それに美しさを追求することは原子炉容器作りでも同じですから」。世界中の企業が日本製鋼所に太刀打ちできない理由が少しわかる。

 日本人としての誇り、その芯がしっかりしていることがこの国の強みだ。ただ非力で現実離れした戦後国家体制ではこれまでにない激しい荒波を乗り切れない。占領を引きずる枯れ木を取り除き、芯を残した根株から「ひこばえ」を育むことが日本の希望である。

(産経ニュース2011.1.1)

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