『「儲ければいい」は破綻する』 スティーブン・K・グリーン (HSBCホールディング会長、2011年に英貿易投資相に就任予定)
1.世界経済が立ち直るためには、長期的な視点に立ったビジネスモデルに立ち返らなければなりません。自社が社会に対して、どのような価値を提供しているのかを真剣に考え直す必要があります。それが、「グッド・バリュー」(良い価値観)の構築につながります。自社の社会に対する価値を見直せば、持続可能性を備えたビジネスモデルが築けるはずです。
2.その一例としてCSR(企業の社会的責任)の重視が挙げられるでしょう。しかし、1つだけ注意が必要です。CSRなどの活動には必ず目標が設定されますが、目標に縛られすぎてはいけません。矛盾しているようですが、目標達成に向けてどれだけ努力しても、完璧は得られないものです。目標と実績の差にこだわりすぎれば、目標達成のために手段を選ばなくなってしまいます。
3.こうした不完全さを許容できずに万能を求めれば、ファウストが悪魔と交わした取引を、我々もする羽目になります。主人公のファウスト博士は、完全さを求めて悪魔のメフィストフェレスと賭けをしました。魂を引き換えにしてまで、知識や権力を欲する姿は異常に見えます。しかし、現代においてもカネという悪魔と取引している人は多い。利益を得るためなら手段を選ばないという考え方は、ファウストのそれと、何ら変わりません。そして、ファウスト同様、最後は必ず破綻します。(参考:「日経ビジネス」2010年10月15日号)
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