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2011年4月 9日 (土)

『なぜ日本には老舗が多いのか、その三つの理由』野村進(ジャーナリスト、拓殖大学教授)

1.帝国データバンクの調査によると、日本には1000年以上続 く老舗は7社、500年以上が39社、300年以上が605社となっている。200年以上は韓国0、中国9社、インド3社に対して、日 本は3000社。世界に7000社あるといわれている200年企業のうち、実に半数近くが日本に集中していることになる。また、100年以上は世界の中でも断トツの100,000社以上にのぼる。

2.それにしても日本には、なぜこんなに老舗が多いのか?次 の三つに理由がある。一つ目は、過酷な内戦や侵略がなかったこと。二つ目は、継続を美徳とする価値観があること。例えば日本には、饅頭(まんじゅう)一筋何百年といった老舗が多数存在し、店の人もお客も、そのことを誇りにしている向きがある。「継続=美徳」という価値観は、アジアでは実は稀少なものなのである。

3.三つ目は、ものづくりを尊ぶ伝統があること。特に、自分の手を汚して何かをつくることをよしとする価値観が日本にはあるが、それ以外のアジアの国では、下賎(げせん)の民のする仕事とみなされている。日本ほど、職人文化やものづくりを大切にする国はないだろう。事実100,000社を超える日本の100年企業のうち、半数近くにあたる45,000社が製造業とされている。つまり我が国の老舗は、ものづくりによって生き永らえてきたのである。            (参考:「致知」2011年2月号)

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