『日本人の勤労観が揺らいでいる』樋口美雄(慶応義塾大学教授)
1.日本人の勤労観が揺らいでいる。「勤勉に働けば、生活はよくなり、成功する」と考えている人の割合は、フィンランド84%、米国75%、韓国72%に対し、日本では57%にとどまり、調査22カ国中4番目に低い。(世界価値観調査)10年前に比べ、「人生の成否を決めるうえで、勤勉よりも運やコネのほうが大事である」と考える人が急増している。
2.変化の背景に、長期にわたる経済成長率低下があることは間違いない。パイが拡大しない以上、勤勉に働いても成果は上がらず、給与は増えない結果、むしろ運やコネのほうが大切だと考える人が増えている。この傾向が強まり、人びとの働く意欲が失われた状況では、健全な経済発展は期待できない。
3.成果主義に基づき、個人の成果が上がれば給与は得られるとしても、長期経済低迷ではどんなに頑張っても成果は上がらない状態が続くと、積極性は失われ、諦めが先行しがちだ。「給与は下がる」「職を失う」といった恐怖心からは、持続的な積極性は生まれてこない。金銭的処遇だけでなく、本人の努力や工夫で生産性が向上したら、余暇・趣味、家庭生活を充実させられるような「ワーク・ライフ・バランス」の推進で応えるのも一つの方法である。(参考:「週刊ダイヤモンド」2011年2月12日号)
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