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2011年11月25日 (金)

特集:ベトナム活気満ち 国際社会で存在感 大武健一郎・元国税庁長官の話

◇日越友好、今こそ真価--大武健一郎・元国税庁長官(65)

 なぜ、今、ベトナムなのか。それを語る前に、世界の潮流を読む必要がある。

 12月でソビエト連邦崩壊から20年を迎える。この間の前半10年は、冷戦に勝利した米国が世界標準となり、一国中心主義を推し進めた。しかし、後半10年で米国の経済力は次第に衰え、中国やインドといった新興国が力をつけ、多極化の時代に突入した。そして、次の10年。世界経済をけん引するアジア太平洋地域において、ひそやかに続いてきた米国と中国との間の激突が顕在化していくのは間違いない。今月中旬に米ハワイであったアジア太平洋経済協力会議(APEC)で真っ向からぶつかった、覇権国家と評される米中の間に挟まれた日本は、国益にかなった平和国家としての戦略が重要になっている。

 ここに、日本がベトナムに注目する最大の理由がある。日本は戦後66年にわたり、いい意味でも悪い意味でも「おせっかいな米国」と歩み、米国とは軍事・政治・経済全てにわたる同盟国だ。一方で、アジアの大国である日本と中国は、経済面においても切っても切れない関係となった。

 その中で、日本人やモンゴル人と同様に生後に蒙古斑(もうこはん)が100%出るベトナム人は、米国や中国と戦争をした半面、アジアの中で最も親日的だ。中国とは今も南シナ海を巡って軍事的緊張が続くが、人口は約9000万人となり、中国に次ぐ海外資本の投下先に発展している。日本がベトナムと緊密な関係を結ぶことで、米中の決定的対立を回避する役割が期待できる。

 近年、日本企業がベトナムに次々と進出しているのも、経済界主導で日本の向かうべき進路を映し出している。ただし、ベトナムが、中国、フランス、米国などとの1000年以上にわたる戦禍を経て、36年間しか平和を享受していない「偶然の安定」の中にいる、という現実認識は必要だ。

 長い戦争の経験からベトナム人は、外部の人間を信用しない。ベトナム戦争で米軍が敗れたのは、日本のような大本営主導ではなく、地域の個々の勢力が独自に武器を取り、ゲリラ的に戦ったためだった。ベトナム人は、個々の力は勝っているが、横のつながりに乏しいということだ。

 ベトナム政府の高官が私に言った。「私たちは1対1なら日本人に負けないが、4対4では勝てない」。日本企業が、ベトナムに進出し、現地の人々とつきあい育成していくために念頭に置いておくと有益な言葉だ。

 アジアの大半の国は諸外国との長い戦争状態にあった。状況は国によって異なり、それぞれの国民性を形作る。日本政府はアジア太平洋地域で経済連携協定(TPP)に参加しようとしているが、自国民に対してアジアの歴史教育をもっと充実させるべきだ。それなしでは、ベトナムとも真の関係を結ぶことはできない。(談)

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 ■人物略歴

 ◇おおたけ・けんいちろう

 東大卒、旧大蔵省入省。主計局時代にベトナム難民受け入れ予算を担当。現在はベトナムでNPO(非営利組織)を設立し、日本語による簿記の普及や税制・税務行政の支援をしている。現在、ビジネス・ブレークスルー大学大学院客員教授などを務める。東京都出身。

毎日新聞 2011年11月21日 東京朝刊

http://mainichi.jp/select/world/news/20111121ddm010030041000c.html

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