『ほんとうは、「日韓併合」が韓国を救った!』(松木国俊著)
■「七奪」に事実をもって反論
ある日のこと、持ち込み原稿の電話を受けた。「私は、新しい歴史教科書をつくる会の松木といいます。日韓問題についてビジネスマンの頃より研究しているものですが、ようやく原稿を書き上げました。一度、読んでいただけませんか」というものだった。
持ち込み原稿を弊社で発刊することはほとんどないのだが、松木氏の自分の原稿についての要領を得た説明ぶりに、まず感心した。それに日韓問題の単なる研究家というだけではなく、商社マンとしてソウルに5年ほど駐在していたということにも興味をもった。
案の定、原稿はじつに丁寧に書き込まれ、韓国、韓国人との実際のお付き合いの経験が行間に滲(にじ)み出ていた。巷(ちまた)によく見られる“反韓”や“反日”を目的に書かれたものではなかった。
なぜ、日韓は解(わか)り合えないのか? その原因の大きな一つに、歴史認識問題があるとする著者は、韓国人が反日の最大の根拠としている「七奪」の一つ一つに事実をもって反論していく。その姿勢は、何かに偏ったものではなく、当時の時代状況全体を冷静に眺め、淡々と書き綴(つづ)っている。
日本の朝鮮統治が、台湾統治同様、西欧諸国のそれに較(くら)べるといかにまっとうであったかがよく分かる。
日韓問題に限らず、すべての歴史問題は、当時の世界史的視点を加味しなければ近視眼の蛸壷(たこつぼ)に嵌(はま)ってしまうだろう。
本書は、間違った日韓歴史認識を糺(ただ)し、日韓相互理解の道を真摯(しんし)に提案している好著である。(ワック・1575円)
(産経ニュース2011.9.24)
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