『顧客は価値を認めれば高くてもお金を出す』高柳正盛(日経トップリーダー編集長)
1.すかいらーくグループの創業者、横川4兄弟の1人である横川竟さんと「なぜファミリーレストランは凋落したのか」について話したことがあります。横川さんはその原因を、こう分析しました。「安易な価格競争に走ったからですよ」。全盛期、常にファミレスは、他にはない価値あるものをお客に提供していました。
2.ところが、です。いつしかファミレスは低価格競争を繰り広げるようになります。価格を下げるために、メニューを絞り込み、人を大幅に削った。設備投資も最低限に抑えた。低価格と引き換えに最大の武器だった「斬新な料理」「明るい接客」「気持ちのよい空間」をすべて放棄してしまったのです。「会社の規模が大きければ価格は下げられる。しかし、お客様はすぐにそれに慣れてしまう」。低価格で一時的に集客したものの、結局日常食の延長とみなされてしまいました。
3.一方、価値ある商品を提供することで復活を遂げたのが、一時期「価格破壊の代名詞」と目された日本マクドナルドです。業績が低迷した後、商品価格の幅を広げ、消費者に「価格選択肢」を与えました。100円~800円の価格帯に、100円刻みで価格に見合う価値を持った商品を投入したのです。業績は急回復しました。これは「顧客は価値さえ認めればカネを出す」ということの表れです。そして、それは業界を問わず言えることなのです。
(参考:「日経トップリーダー」2011年11月号)
« 訃報:磯辺律男さん 89歳=元国税庁長官 | トップページ | 味噌煮込みうどん »
「経営」カテゴリの記事
- 亡国の脱税:政治とお金の大問題(大村大次郎著)(2024.08.27)
- 満州建国の大義―石原莞爾とその告白(鈴木荘一著)(2024.04.22)
- プロが厳選する 世界大恐慌が来ても絶対大丈夫な株200銘柄(久保修著、副島隆彦監修)(2024.02.27)
- 米銀行破綻の連鎖から世界大恐慌の道筋が見えた(副島隆彦著)(2023.12.28)
- クロサギ(黒丸、夏原武著)(2023.12.06)
コメント