『為替レートに関する考えを変えるべき時』野口悠紀雄(早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問)
1.世界の金融市場が混乱している。それと同時に円高も進行している。為替介入が行われたが、効果はない。効果がないのは、現状が特に円高とは言えないからだ。「超」円高とはとても言えない。経済危機・前の異常な円安が、正常な姿に戻りつつあるだけのことだ。継続的な円高は、物価上昇率の差や金利差がもたらす必然の結果なのだ。したがって、今後も年率2~3%での円高が継続するだろう。円高が国難のように言われるのは、円高の利益がはっきり見えるかたちで表われないこと。そして、円安を望む産業が政治的に強いことになる。
2.円高によって、製造業の海外移転はさらに加速される。それによって国内の雇用が失われる。これへの対処は、緊急の課題だ。雇用調整助成金のような対症療法ではなく、積極的に雇用を創出する必要がある。それは、円高によって影響されない、生産性の高い事業でなければならない。これは、日本の産業構造を大改革することを意味する。
3.「限度を超えた円高が続くから、政府はなんとかしてほしい」という考えを日本企業が持ち続ける限り、決して新しい可能性は開けない。「円高は必然なので、それに対応できる事業が必要」という発想に転換する必要がある。
(参考:「週刊ダイヤモンド」2011年9月3日号)
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