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大阪の税理士が送る阪神

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2012年4月21日 (土)

『三十光年の星たち』上・下(宮本輝著)

 書店への配本は東日本大震災の発生当日だった。阪神大震災で兵庫県伊丹市の自宅が全壊した経験を持つものの、余りの被害の大きさに言葉を失い、「本どころじゃない」と思った。

 ただ、今はほぼ同時期に出版されたことに意味を感じている。長い歳月は不幸や災厄を逆の何かに変化させ得る、というテーマを扱った4部作の、締めくくりとなる1作だからだ。

 事業に失敗し、借金の返済に行き詰まった青年が、自らの哲学やルールを持った不思議な金貸しの老人の下で、運転手として働きながら再起の道を探る物語。描きたかったのは、厳しい師を得て自分を磨き、成長しようとする人間だ。

 「何かを教わるには、理不尽に耐えることが必要なのではないか。しかられた理由が分からなければ考えに考える。自分なりの答えに思い至るまでの時間が人を成長させるのです」

 すぐに結果を求める現代社会にあって登場人物はあえて時間のかかる物事に取り組む人ばかりだ。苗木から森を育てようとする料亭のおかみ、植物染の工房を営む匠、そして亡夫の残した借金を毎月5000円ずつ返し続ける女性――。

 借金の返済は実体験に基づく。広告代理店に入社した23歳の時、亡父の手形を持つ男が目の前に現れた。なぜか給料の額を知っていて「毎月5500円ずつの返済ではどうでしょう」。

 以来5年間、給料日翌日に自ら届け続け完済した。最後に男は「長い間ありがとうございました」と頭を深々と下げてくれ、「こちらこそお世話になりました」とお辞儀を返したという。

 歳月が織りなす物語を書き終えて、次なる関心は「江戸末期の富山の薬売り」と意外な方向へ。新たな展開にまた、期待がそそられる。(毎日新聞社、上下各1500円)(浪川知子)

(読売新聞2011.4.26)

http://www.amazon.co.jp/%E4%B8%89%E5%8D%81%E5%85%89%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%98%9F%E3%81%9F%E3%81%A1-%EF%BC%88%E4%B8%8A%EF%BC%89-%E5%AE%AE%E6%9C%AC-%E8%BC%9D/dp/4620107670

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