【産経抄】8月12日
首相の靖国神社参拝について、是とする立場から「過去の過ちを繰り返さないために参拝すればいい」という意見がある。一見もっともらしく聞こえる。だが元タイ大使、岡崎久彦氏は著書『国家戦略からみた靖国問題』の中で、こうした考え方を退けている。
▼それでは「英霊に対し『お前たちは悪い戦争のためムダに死んだ』というに等しい」からだ。岡崎氏は首相は本来は春、秋の例大祭に行くべきだとする。だが8月15日に参拝するのなら「特攻隊の戦士をはじめ、お国のために散った英霊の鎮魂のためであってほしい」と述べる。
▼簡明で当然と思える、この首相参拝の目的が今や、どこかに忘れ去られてしまった。それどころか民主党政権になって、参拝の論議すら封じこめられている。ましてや靖国参拝が国の守りの基本でもあることなど、政治家の頭から消え去ってしまったらしい。
▼国のために戦い亡くなった人の霊に政府の代表者が感謝しに行く。それは国土や国民の命は必ず守るという意思表示でもある。決意を内外に示すことは、他国からの攻撃への「抑止力」となる。そう考えれば靖国参拝は首相にとって「義務」ですらある。
▼残念ながら、自衛官を父に持つ野田佳彦首相の脳裏にもそのことはなさそうだ。昨年9月の内閣発足時、あっさりと閣僚の参拝自粛を決めてしまった。しかも今年、参拝の意向を示している2閣僚に自粛を求める。そう記者会見で語った。
▼同じ会見で李明博韓国大統領の竹島上陸を「到底受け入れられない」と非難した。だが靖国参拝にこう後ろ向きでは「でもこれ以上コトは構えませんから」と言っているようなものである。韓国や中国は強気になるばかりだ。
(産経ニュース2012.8.12)
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