国際会計基準判断先送りか
各国で異なっている会計基準を統一する国際会計基準(IFRS)の導入が宙に浮いている。推進派と慎重派の意見の隔たりが大きい上、影響力のある米国が採用するかどうか不透明さを増しているためだ。金融庁の企業会計審議会は中間報告で「二〇一二年をめどに強制適用の判断」をするとしていたが、事実上困難との声も出ている。
IFRSは現在、欧州を中心に百カ国程度が採用。企業の持ち合い株の時価総額などを利益に反映させることを義務付けるなど、強制適用を決めれば国内の会計処理の変更が必要となる。
IFRSの適用は、〇九年の会計審の中間報告を受け、国際展開する企業を中心に一五年三月期からの強制適用を視野に準備が進んでいた。国内でも既に八社が採用した。
しかし、昨年六月、当時の自見庄三郎金融担当相が「一五年三月期には強制適用は行わない」と突然発表し、事態は急変した。
さらに米証券取引委員会(SEC)の今年七月のスタッフ・リポートにより、米国が適用判断を先送りすることが判明。慎重派は「米国より先に判断すべきでない」と主張している。
経団連によると、IFRSの導入機運が盛り上がった〇九年時点では大半の企業が検討を始めていたが、こうした状況を受け検討をやめた社もあるという。
一方で、欧州だけでなくアジアでも韓国や東南アジアの国々が導入を開始。推進派は「日本が国際的な立場を失いかねず、世界から取り残される」との危機感を訴える。
会計審は十月二日に議論を再開する予定だが、金融庁は「議論を続けても結論を得るのは難しい」と頭を抱えており、長期戦の様相を示している。
(東京新聞2012.9.30)
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世界同時不況のこのときにどうなんでしょうかね?
時価会計も考えものだよね。
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