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2012年11月12日 (月)

監査法人、企業再生の要 円滑化法終了見据え事業強化

 金融機関に融資返済条件の緩和を求めてきた中小企業金融円滑化法(返済猶予法)の期限切れが来年3月末に迫る中、大手監査法人や投資会社などに、経営改善の企業再生サービスを強化する動きが広がってきた。期限切れ後は、貸し渋りや融資条件の厳格化で資金繰りに窮する事業者が増えることが見込まれるためだ。金融庁によると、同法による貸し付け条件の変更件数は今年3月末で累計289万3387件、利用企業数は30万~40万社とされる。このうち5、6万社は抜本的な経営改善が必要との見方もあり、再生支援への期待が高まっている。

 今月、あらた監査法人グループのプライスウォーターハウスクーパースは、約40人の陣容で「中堅・中小企業再生支援室」を事業再生部門内に新設した。新日本監査法人も企業再生支援の担当を来年までに、現在の約100人から150人程度に増員する予定で、トーマツグループは再生支援の要員を3年前に比べて1.4倍に増員。グループ会社を含めて145人態勢を敷く、あずさ監査法人も「ニーズに応じて人員拡充も検討する」としており、国内の4大監査法人が軒並み返済猶予切れによる“危機対応”にかじを切っている。

 実は、企業経営の現場ではすでに再生支援のニーズが顕在化している。トーマツグループでは、この半年間の企業再生相談件数が以前の約2倍に急増。新日本の南波秀哉シニアパートナーは「持ち込まれる案件数が足元で、1年前と比べて2、3割多い。年末には駆け込みも増えていくのではないか」と話す。企業再生に道筋をつけるには少なくとも数カ月かかり、早めに着手する必要があるためだ。

 「かつては財テクや不動産投資の失敗で行き詰まる企業が多かったが、現在は本業で不振に陥るケースが目立つ」(デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーの伊藤雅之パートナー)といい、返済猶予法の支えで、景気悪化や円高の逆風をしのいでる企業も多いとみられる。

 このため、猶予法を延長しない方針を決めた金融庁も、来年度の中小企業の資金繰り環境への危機感を強めており、中塚一宏金融担当相は今月1日に開いた全国財務局長会議で、倒産の増加が生じないよう金融機関に資金供給を促す姿勢を強調。同時に、経営改善のコンサルティングなどで事業再生を活発化させる方針を示した。

 いきおい監査法人は、企業と金融機関の間に立って経営改善を進める機能を持っており、事業再生の推進役として大きな役割を担う。例えば、融資の不良債権化を避けたい金融機関側は早期に業績を回復してもらいたいため、人員削減や事業売却など企業側に痛みを伴うリストラを盛り込んだ再生計画を求めがちだ。これに対し、監査法人は財務や事業の状況を分析し理解したうえで、金融機関の納得する計画づくりを促し、企業が資金繰り支援を受けやすくする。

 しっかりとした再建プランづくりを契機に、再生支援で競争力を取り戻す中小企業も多く、今回、専門部署を設けたプライスウォーターハウスクーパースは「成長可能性の最大化をサポートする」と意欲をみせている。ただ、再生支援の先行きには懸念もある。猶予切れで中小企業からの支援ニーズが急増すれば、企業再生の専門ノウハウを持つ人材が払底する可能性も否定できない。

 企業再生は従業員、株主、金融機関など多くのステークホルダー(利害関係者)の調整が必要で、「異種格闘技」(トーマツの森川祐亨パートナー)とも言える難しさがある。「(再生支援の)人材育成には2年間ほど現場で経験を積ませる必要があるが、円滑化法の施行でその機会が少なくなっていた」(同)という。さらに、後退局面に入ったとされる景気動向も不安材料だ。企業再生では、支援企業による出資やM&A(合併・買収)も有効だが、景気の低迷でスポンサー探しは厳しく、「約100社に断られた」(トーマツグループの伊藤氏)ケースもあるという。

 一方、最近は投資会社のニューホライズンキャピタルなどが再生支援ファンドを組成し、新たな資金の出し手となる動きもある。ニューホライズンの前身会社は、かつて三菱自動車や東急建設の再生に携わった。リスクマネーの流入がどこまで再生支援に広がるかも、猶予切れの危機対応の鍵となりそうだ。

(yahooニュース2012.11.8)

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