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2012年12月18日 (火)

『消費増税亡国論—三つの政治ペテンを糺す!—』(植草一秀著)

 たぐいまれな分析力を持ちながらえん罪事件で学術の世界を追われた植草氏の最新著(2012年4月23日刊)。旧大蔵省財政金融研究所で研究官を務めたこともある著者が、野田内閣が進める消費増引き上げの欺まん性を赤裸々に示す。

 副題にある「三つのペテン」とは、(1)マニフェスト違反の官僚利権(天下り)擁護、(2)日本財政が真正危機にあるとの風説の流布、(3)社会保障制度改革なき「単なる増税」の推進——である。

 (1)のマニフェスト違反は、読者諸賢には周知のことだろう。「書いてあることは命懸けで実行する。書いてないことはやらないんです」の辻演説はNHK『ニュース7』でも取り上げられ、全国のお茶の間に届いた。植草氏がブログで紹介し、国会で取り上げられるまでネット上で拡散された結果だ。

 しかし、テレビが引用するのはこの部分だけ。首相となる人物の演説の核心は「シロアリを退治し、天下り法人をなくし、天下りをなくす。ここから始めなければ、消費税を上げるというのはおかしい」の部分と指摘する。

 消費増税を盛り込んだ「一体改革」の責任者として起用されたのが岡田克也副首相だが、彼の実家イオン株式会社は旧大蔵省事務次官OBで日本たばこ産業株式会社会長の小川是(おがわ・ただし)氏を社外取締役として受け入れ、日本たばこの工場跡地の取得に成功している。

 さらに元財務省理財局長で金融庁企画総務局長を務めた原口恒和(はらぐち・つねかず)氏をイオン銀行会長に受け入れている。同行は11年に破たんした日本振興銀行の払い下げ金融機関に選定された。野田政権はシロアリ退治をしないどころか、天下りとズブズブの関係にある。

 (2)の「財政危機」は悪質なデマだと糾弾する。「日本もギリシャみたいになる」との風説が流布されるが、欧州で政府債務危機のリスクが指摘されている国はすべて経常収支赤字国。わが国は黒字で、金余りの状態が生まれていることを示す。海外に流出させるより、その資金を政府が国債で吸収し、長期に役立つインフラを整備する方がはるかによいと主張する。

 最近、政府は「国の借金が1000兆円を超す」と言い始めた。これは政府長期債務894兆円に短期債務を加えたもの。その大半は日銀から借りている外国為替証券100兆円で、その反対側にはそれだけの外貨準備という資産がある。

 政府のバランスシートは負債1037兆円に対し、資産1073兆円で、36兆円の債権超過にある。しかも、資産の中の土地125兆円は簿価で、時価評価すれば莫大な金額になるはずだと指摘する。「政府債務に対する政府の支払い能力は万全であり、デフォルトリスク、債務不履行のリスクは存在しない」と断じる。

 ただし、著者は財政再建を否定しているわけではない。安定的な経済成長を最優先に取り組むべきだとし、そのためには財政出動が不可欠と説く。すなわち、財政再建のための基礎工事として、「景気回復」「シロアリ退治」「社会保障制度の拡充」を挙げる。

 (3)では、社会保障改革が口実にすぎないことを暴く。04年の政府資料では、どの世代も年金への加入は大きな利得があると試算していた。ところが12年1月、学習院大学の鈴木亘(すずき・わたる)教授などが中心となって出した負担と給付の推計試算を、内閣府の経済社会総合研究所がディスカッションペーパーの形で発表する。従来と正反対の計算で、1960年生まれ以降は、大幅なマイナスになると結論づけている。

 現在、「世代間格差」という言葉が流通するが、こうした論証から増税のための宣伝文句であることが分かる。植草氏は旧大蔵省の研究員として働いた経験から、マクロ計量経済モデルでシミュレーションを人為的に操作するのはいくらでもできると明かす。職員が取り組むのは、結果が先に決められている計算なのだ。

 もう一つの痛快な告発は、「霞が関文学」の解説だ。「取り組む」とはこれから議論を始めること。「実施すべきである」とは実施しないときに使う言葉である。「期す」「図る」はやらなくていいときに使う。しかも、「素案」では政治改革・行政改革が50ページ中1ページ15行しかないのである。

 最終章では、国民が主体となった政治による打開策を提示する。米国が狙っているのは市場原理色の強い対米隷属勢力と、市場原理主義色のやや弱い対米隷属勢力による二大政党制である。大阪維新の会やみんなの党、自民党「上げ潮派」は前者に属し、谷垣禎一自民党総裁らは後者だ。この対立軸に対し、対米隷属グループと自主独立派勢力による二大政党制をつくろうと呼び掛ける。自主独立派の指導者として、植草氏は小沢一郎元民主党代表に期待を託す。

 政局を占う上で、最初に試されるのが、表題になっている消費増税問題。自民党が法案をのむ代わりに選挙に入る「話し合い解散」もささやかれているが、植草氏は喝破する。

 「国会で決めてから主権者の意志を問うのは順者が逆だ。2012年の国会で無理に信義を行うのは民主主義の適正な手順にも反している。まず、総選挙を行い、その民意によって進むべき道を決めるのが正道である」

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