国際会計基準の導入進まず
欧州を中心に普及している国際会計基準(IFRS)の国内導入に向けた議論が停滞している。金融庁は同基準の強制適用の是非について昨年中をめどに決める方針だったが、米国の導入見送りなどを受け、判断を先送りしていた。一方で、大企業は同基準の導入による事務作業の効率化などを期待しており、経団連などからは「政府は時間軸を早期に示してほしい」との声も上がっている。
同基準は、会計基準の世界的な統一を目指している国際会計基準審議会が策定。欧州を中心に100カ国程度が採用している。
日本では、金融庁の諮問機関である企業会計審議会が平成21年に自国基準とする検討を開始。金融庁は当初、上場企業に対する「強制適用」の是非について昨年中にも決定する方針だったが、米国の導入見送りや東日本大震災の発生を受け、委員間の意見集約が進まず先送りされていた。
導入に向けた見通しが立たない中、3月26日に開かれた会計審では、関係者から「政府として大体の方針くらいは早急に示してほしい」などと要望があった。
IFRSの導入によって、海外に進出する企業は会計作業の負担軽減が可能だ。日本基準を適用する本社と、IFRSを適用している海外子会社がそれぞれ別の会計基準を使用していたが、共通化できる。
また、日本基準では企業買収後に「費用」として計上している「のれん代」を償却する必要がなくなるため、M&A(企業の買収・合併)を積極的に推し進める企業にとっては営業利益を押し上げる要因にもなる。このため、経団連は「時価総額上位50社のうち、約4割の企業が(IFRSの導入に向けた)公表や検討を行っている」としている。
一方で、日本基準や米国基準からの移行には膨大な事務作業が必要となるため、準備には「少なくとも4、5年は必要」(金融庁関係者)との指摘もある。国内市場の縮小に伴う企業のグローバル化が進む中、会計ルールの国際化が宙に浮いたままの状況はしばらく続きそうだ。
国際会計基準(IFRS) ロンドンに本部を置く民間機関、国際会計基準審議会(IASB)が作成・管理する国際的な会計ルール。国際財務報告基準ともいう。平成14年に欧州連合(EU)が域内企業の連結決算への強制適用を決定したことをきっかけに世界中に広まった。欧州以外では韓国やカナダなどがすでに導入しており、日本や米国なども導入を検討している。
(産経ニュース2013.4.9)
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