秋の園遊会で山本太郎参院議員が天皇陛下に直接、手紙を手渡した。天皇の政治利用であると同時に常識で考えても極めて非礼な行為である。
園遊会は、国政の権能を有しない天皇が国民統合の象徴として、皇后さまとともに、春と秋の年2回、各界の代表と会われる場だ。出席者は極力、政治的な話題を避けるのが常識である。
山本氏によると、手紙には東電福島第1原発事故をめぐる健康被害などを書き、「子供たちの未来が危ない。健康被害が出ている」と陛下に話しかけたが、お答えはなかったという。陛下はいったん手紙を受け取り、そばにいた侍従長に手渡された。
山本氏は「政治利用にはつながらない」との認識を示している。だが、山本氏は先の参院選で「脱原発」を主張し、当選した国会議員である。自分の政治的主張のために園遊会の場を利用したと受け取られてもやむを得ない。
しかも、天皇に対する請願書は請願法で「内閣にこれを提出しなければならない」(3条)と定められている。山本氏が天皇に申し上げたいことがあるのなら、きちんと法的手続きを踏むべきだ。
菅義偉官房長官は「礼儀にふさわしいかどうかは自身で判断することだ。常識的な線引きはある」と不快感を示した。宮内庁幹部も「ああいう場所で物をお渡しするのはエチケットに反し、あってはならないことだ。陛下としてもお困りになるだろう」と心配する。当然の指摘である。
山本氏は参院議院運営委員会で「騒ぎになり、申し訳ない」などと謝罪し、処分などは来週の理事会に持ち越された。「議院の品位の尊重」義務を定めた参院規則に違反する可能性があり、相応な処分が必要ではないか。
今後、園遊会に招かれる人々、特に国会議員は山本氏のような場をわきまえない無分別な行為を、二度と繰り返してはならない。
両陛下は今年7月、「居住制限区域」の福島県飯舘村で操業を続ける工場を視察され、避難先の小学校も訪ねられた。皇后さまは先月20日の79歳のお誕生日に、福島第1原発の元所長の死を悼み、「作業現場で働く人々の安全を祈っています」と気遣われた。
両陛下が福島の原発事故のことを深く案じられていることも、国民は忘れてはならない。
(産経ニュース2013.11.2)
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これは日本の教育問題からきている。
18歳までの教育改革はもはや待ったなしだ。
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