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2014年3月31日 (月)

神やぶれたまわず(長谷川美千子著)

神こゝに 敗れたまひぬ――。
すさのをも おほくにぬしも
 青垣の内つ御庭みにわの
 宮出でゝ さすらひたまふ――。

 折口信夫は詠った。

しかし、本当に神はやぶれたのだらうか。

 一国の歴史にはあるる特別の瞬間といふものがある。その瞬間を忘れ、失ふことはその国の歴史全体を喪失することである。昭和天皇が「終戦の詔書」で大東亜戦争の敗北を認め、すべての日本人に終戦を命じた八月十五日正午こそがその一瞬だつた。

 太宰治の『トカトントン』の主人公も、十三歳の桶谷秀昭少年も「死ぬのが本当だ」と思つてゐた。大学生吉本隆明も本土決戦の中で死ぬといふことを当然のやうに考へてゐた。なのに天皇は降伏宣言で「生きよ」と言はれる。

 桶谷少年は「天皇は死んだ」と憤激し、「神と己れとの直結性の意識」をほかならぬ神に絶たれた吉本は「神への憤怒」に駆られる。

 しかし、さうだらうか。国民を救ふためには「自分はどうなつてもいい」と、自らの死を差し出す決心をされたがゆゑに、「見事な敗戦」とも言ふべき秩序正しい敗戦が可能だつた。それは「イエスの死」に比すべき意味を持つ瞬間だつた。大東亜戦争敗北の瞬間において、われわれの神は決して敗れはしなかつたのだ。

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