友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」(山中伸弥、平尾誠二、恵子共著)
平尾誠二と山中伸弥、男同士の友情が女性読者に支持された理由
選手、指導者、ドラマ『スクール☆ウォーズ』の登場人物のモデルなど、多岐に渡る活躍で日本のラグビー界を長年牽引し、2016年に胆管癌で逝去した平尾誠二氏。iPS細胞の研究でノーベル賞を受賞した山中伸弥教授。すでに偉大な業績のあるふたりが40代半ばで知り合い、そこから深い友情を結んで来たことは、本書の刊行前まであまり知られて来なかった。最期までけして諦めなかった平尾氏の闘病生活に、山中教授が全力で併走したことも。抑えた筆致ながら読者の涙を誘わずにはいられない、感動のノンフィクションが大ヒット中だ。
「編集する際に注意したのは、ふたりの交流の深さをきちんと形にすることと、闘病記としての需要に応えることのバランスでした。最高のアスリートと科学者が癌という病にどう向き合ったのか。癌と今戦っている人、将来癌になる恐れを感じている人の関心に応えられるような内容を目指した。それがヒットの一因だと感じています」(担当編集者)
さらにヒットを支えたのが、女性読者の多さ。読者の半分が女性だという。
「男同士の友情というのは、女性には経験できないものですよね。だからこそ、ある種の憧れを感じるのではないでしょうか。山中さんは利害抜きで平尾さんの治療のために尽くされた。平尾さんもそれに応えた。そんな関係は、まさに理想の友情ですからね」(担当編集者)
内容紹介
2010年、雑誌の対談で初めて出会った二人は急速に仲良くなり、やがて親友と呼べる関係になった。出会ったときはすでに40半ばを過ぎ、二人とも超のつく有名人。でも、そんなことは一切関係なく、ただ気のあう男同士として酒を酌み交わし、家族ぐるみで食事を重ねた。こんな関係がずっと続けばいいーー。お互い口に出さずともそう思っていた矢先、友・平尾誠二に癌が宣告される。山中伸弥は医師として治療法や病院探しに奔走。体調は一進一退を繰り返すが、どんなときも平尾は「先生を信じると決めたんや」と語る。そして、永遠の別れ。山中は「助けてあげられなくてごめんなさい」と涙を流した。
大人の男たちの間に生まれた、知られざる友情の物語。
« 2018年24回目のラウンド(藤岡GC東) | トップページ | 今の巨大中国は日本が作った(副島隆彦著) »
「心と体」カテゴリの記事
- 抜歯(2020.10.27)
- 「空腹」こそ最強のクスリ(青木厚著)(2020.07.06)
- 友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」(山中伸弥、平尾誠二、恵子共著)(2018.07.23)
- 老いの僥倖(曽野綾子著)(2018.05.23)
- ヒマラヤ大聖者のマインドフルネス(相川圭子著)(2017.06.07)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 東條英機 「独裁者」を演じた男(一ノ瀬俊也著)(2021.02.03)
- 東大出てもバカはバカ(豊田有恒著)(2021.02.01)
- 完全保存版 昭和の「黒幕」100人(別冊宝島編集部)(2021.01.31)
- 悪名の棺 笹川良一伝(工藤美代子著)(2021.01.28)
- くじけてなるものか 笹川良一が現代に放つ警句80(工藤美代子著)(2021.01.26)
コメント